SPHERE Gallery

井村隆(造形作家)

銅板生まれの魚人間たちが
ペダルを漕いで大空を舞う
<機巧輪>

 道具はただ使ればいいかというと、やはり自分の指先の動作と、出来上がるものとの間に、直接的な関係を見いだせるもののほうが、これは何というか、居心地がいい。動く機械にしても、何故そんな動きをするのかが実感できるほうが安心できたりする。井村隆さんの<機巧輪>(「からくりん」と読む)が無条件に心地いいのは、それぞれのメカニズムをあからさまに見せてくれるからだろう。・・・・・・
・・・・眺める心はいつの間にか、シーラカンスや魚たちといっしょになって空に舞いあがっていく。そう、その動力が何とも人間臭い足踏みペダルであることに安心しながら。(本文より)

写真:高山豊